Special Interview

オンラインによって
医療の質と患者さんの利便性を高め、
安心・安全を届ける

五十嵐内分泌クリニック 五十嵐健人 医師

古くからの商業と文化の街、中央区日本橋。その中でも、大手企業の本社ビルが立ち並ぶエリアのビルの一角に、五十嵐内分泌クリニックはあります。日本の中でも比較的珍しい「甲状腺疾患専門クリニック」として、2017年に開院しました。開院してから1年余り、将来的なオンライン診療を見据え、MediTelを導入されたという五十嵐医師に、お話しを伺いました。

甲状腺疾患は、患者さんとのお付き合いが長く、深い

当院は、「甲状腺疾患専門クリニック」という看板を掲げているからか、やはり甲状腺疾患の患者さんが多く、全体の8割を占めています。甲状腺疾患の患者さんは、男性よりも女性が多いという特徴があり、当院の患者さんもやはり女性の方が圧倒的に多いです。当院に通院されている患者さんの年齢層は、下は16歳くらいから80歳代まで幅広く、甲状腺疾患には年齢的なピークはありません。
甲状腺疾患は、専門的な診療を行う医療機関が少なく、「診てくれる病院がみつからない」ということもあり、地元よりは遠方から来られる方が少なくありません。

甲状腺疾患はどうしても経過が長く、患者さんとのお付き合いも長くなる疾患です。私がこれまでに勤務してきた医療機関にもよるのですが、やはり数年すると、勤務する医療機関が変わることがありました。しかし、患者さんからみると「これまで診察してくれた医師が良い」とか「慣れている医師が良い」というお気持ちもあるようです。私が勤務する医療機関を変わっても、このクリニックを開院してからも、変わらず受診してくださいます。それだけ、患者さんとの信頼関係が重要になる分野ともいえるのです。

オンライン診療の導入のきっかけは、患者さんの負担軽減と甲状腺疾患の特異性

甲状腺疾患は、遠方から来られている方も多い疾患です。患者さんに対し、開院当初から「利便性を図るクリニック」として何かできないかと考えていました。そんな時に「オンライン診療」ができるようになった、保険診療として利用できるようになったことを知り、システムを導入したいと思いました。
理由は大きく2つあります。

患者さんの負担軽減

当院の患者さんには、大学病院に勤務していた頃から継続して診察している患者さんもいらしていて、近郊にお住まいの方だけではなく、埼玉県や千葉県などからも通院されている患者さんもいらっしゃいます。一番遠いところでは、九州から年に数回、受診される方もいます。頻度は少ないとはいえ、「受診する」ための負担はやはり大きくなりますから、これを少しでも軽減し、患者さんにとっての利便性を高めたいという思いがありました。

甲状腺疾患の特異性

甲状腺疾患は、経過が長くなる疾患であり、以前から診察している患者さんは、だんだんと高齢になってきます。患者さんの思いには「同じように診療を受けたい」というのがありますし、「顔を見ながら状況を知ることができる」というのは、双方にとってのメリットです。

また、患者さんの年齢が上がってくると、甲状腺以外の疾患を併発するケースもあります。その場合、併発した疾患についてはご自宅の近医にお任せし、甲状腺疾患については「オンライン診療」を利用して患者さんの来院頻度を下げながら当院で引き続き診療を行っていきたい、という思いもありました。状態が安定した方は、3~6か月間隔での受診が多いですから、長期処方を行いつつ、定期的に「オンライン診療」を続けられれば、患者さんの安心にもつながるのではないでしょうか。

一方で、次の受診までの期間が長くなると、患者さんは途中で何かあっても我慢してしまうことがあります。甲状腺疾患は、診療開始当初は1~2週間に1回の診察が必要ですが、治療方針が決まり、内服による治療がスタートして状態が安定してくれば、2か月後、3か月後、半年後など、受診間隔が長くなってきます。つまり、この間の患者さんの状態や状況は、次の受診の時まで分からないのです。患者さん側も同様で、何か不安なことがあっても、次の受診まで我慢してしまいがちです。甲状腺疾患を専門に診る医療機関は少なく、大きな病院には患者さんが集中してしまうため待ち時間が長くなりますし、当院でも遠方から通院される方はちょっとした変化があっても、やはり次の受診まで待ってしまうのです。

このような状況を回避したい、患者さんが感じる体調の変化があった時は気軽に相談や受診をして頂きたいという思いから「オンライン診療」を導入しました。

オンライン診療を患者さんが始めるきっかけ

「オンライン診療」は、初診から6か月以上の方が対象です。当院は開業から1年が経過し、対象となる方、ご案内できる方が増えてきました。基本的には、現在の症状が安定している、遠方からの通院や高齢者の方で移動が大変な方、家族の付き添いが必要な方などにご案内をしています。利便性があって、お薬を定期的に処方するという方は、当院の患者さんではおよそ1/3くらいでしょうか。ただし、疾患の管理という点でみると、定期的な血液検査は必要ですから、これを考慮すると対象となる方はもう少し少なくなるかもしれません。

実際にご利用頂いている患者さんが、利用を始めたきっかけとしては

  • 来院できないが薬が必要
  • 通院する医療機関を変えると、今までの経緯を伝えるのが大変
  • 慣れている先生の診察を受けたい

などがあるようです。

「オンライン診療」に向け、MediTelを導入した理由はNTTドコモの信頼性

8月に開業して11月にNTTドコモさんからお話があり、4月からオンライン診療が保険収載されるという状況でした。導入に踏み切るまでの期間が短く、タイミング的に他のオンライン診療システムとの比較検討はしてはいませんが、他を検討しなくても通信大手のNTTドコモなら、安心して導入できると考えました。

2018年4月からの「オンライン診療」の実現に向け、たくさんのIT企業が同様のシステムを開発し、導入してきたと思います。MediTelは患者さん自身が、自分の状態や体調の変化を登録していくことができます。単に「テレビ電話でオンライン診療を受ける」だけではなく、ご自身の疾患に向き合うことができるツールだと思います。

また、患者さんはスマートフォンがあれば、「オンライン診療」を受けるための準備ができますし、NTTドコモならではのセキュリティも期待できます。患者さんからすれば自分自身のデータだけかもしれませんが、医師からすれば多くの患者さんのデータを扱うことになりますから、セキュリティという観点は非常に重要です。その点でも、NTTドコモが手掛けるシステムなら、安心できるのではないかと思います。

「MediTel」は、あくまでも補助的な診療のツール、でもその効果は大きい

私は、「MediTel」は、実際に通院する回数を少なくできる、毎日の変化をきちんと登録しておけるなど、あくまでも実診療の補助的なツールであると考えています。特に甲状腺疾患は、定期的な血液検査が必要です。高脂血症や高血圧などの生活習慣病も、定期的な血液検査や血圧測定が、治療の是非を判断する重要な情報となります。ですから、実際に受診することをゼロにすることはできません。患者さんの顔を見ながら、前回の受診日からの変化について伺い、必要な検査をすることは、医師として患者さんとともに疾患に向き合う、大事な時間です。

しかし中には、「検査」が必須ではない受診日もあります。それが「オンライン診療」のタイミングだと思うのです。患者さんの顔を見ながら、経過を確認し、不安に思うことは無いか、体調の変化は無いかなどを伺うことでも、お薬を処方することはできますし、何よりも患者さんに「安心」を届けることができます。

また、「オンライン診療」を受けるために、当院で導入した「MediTel」を使って、日々の体調の変化、場合によっては体重や脈拍、体温などを記録していくことで、患者さん自身が自分の疾患と向き合い、体調の変化に気を付けるようになるでしょう。こうした点も、患者さんにとって大きなメリットとなるのではないでしょうか。

「オンライン診療」の未来、MediTelの未来

「オンライン診療」という制度自体は今後、実際に活用している医師や患者さんの声を元に、さらなるブラッシュアップが必要だと考えています。

まず、元々は自由診療の分野から広がった制度ですから、「保険診療になった」ことを、知らない患者さんが、まだまだたくさんいます。自宅や会社などに居ながらにして、かかりつけ医の診療が受けられる、それも保険診療なので3割の自己負担で済む、処方箋も郵送で受け取りが可能など、これまでの医療体制を大きく変える可能性がある制度です。こうしたことを、もっと一般に、より多くの患者さんに啓発していくことで、MediTelそのものも利用が拡大していくのだと思います。

健康相談での活用

「オンライン診療」には、健康相談という使い方もあります。例えば、企業の産業医などと連携し、健康診断やストレスチェックの結果から医療機関への受診が必要な方には、まずは「健康相談」から利用して頂くという方法もあるでしょう。今現在の制度上は、保険診療とはなりませんが、初めての医療機関を受診する前に、「健康相談」をしてからかかりつけ医を選ぶ、ということもできるかもしれません。

そのためには、疾患分野ごとに保険診療の枠組みを決める、あるいは初診でも「健康相談」だけなら保険診療にするなど、制度自体を見直す必要もありそうです。オンライン診療を利用する医師や患者さんが増えてくれば、こうした議論もなされていくのではないでしょうか。

MediTelと産業医との連携の可能性

MediTelは、医療の質だけではなく、患者さんの利便性と安心・安全を維持・向上するために、これからさらに発展していくツールであると考えています。例えば、産業医との連携です。健康診断後に、「甲状腺が腫れている」などの理由で受診される方もいます。企業と提携する産業医から先、専門的な検査や治療などが必要な方への対応として、システム上でも産業医と連携できるような仕組みが、今後発展していければ良いのではないかと思います。

導入を検討されている先生方へのメッセージ

オンライン診療を始めるには「オンライン診療計画」を立てる必要があり、「6か月間連続した診療」が必要など、ハードルが高いと感じる先生も多いかもしれません。しかし、成功体験が公表され、導入するクリニックが増えて多くの人の先生が利用を始めることで、さまざまな課題が出てくるでしょう。

患者さんの利用が広がれば、患者さんの満足度向上、クリニック側の満足度向上の報告など、双方の成功事例が出てくれば、さらに広がりを見せるのではないかと、考えています。

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